処方
ruby-build [-dvpk] <定義> <プレフィックス> [-- <構成引数>…]
ruby-build {--list|--definitions}
ruby-build --version
説明
ruby-buildは、 定義 引数の名前のバージョンのRubyを、 プレフィックス で指定された場所へ、ダウンロード、コンパイル、インストールします。
定義 引数は「ruby-」始まりにもできます。 この場合、それに続くバージョン番号に合致するCRubyに解決されます。
定義 引数はディスク上のファイルへのパスにできます。 この場合、bashスクリプトとしてruby-buildにソースが読み込まれます。
また、追加でRubyの 構成引数 を「--」の後に列挙できます。 このようにすると、 ./configure
の呼出しへ転送されます。
既定では、全てのコンパイル出力は $TMPDIR/ruby-build.*.log
にあるログファイルにリダイレクトされます。 冗長モードを有効にするとログファイルへの書き込みはスキップし、全て標準ストリームに印字します。
オプション
- -l, --list
-
Rubyの最新の安定リリースが、各行に一覧で表示されます
- --definitions
-
全てのローカルの定義を一覧にします。 期限切れのものも含まれます。
- --version
-
ruby-buildのバージョンを表示します
- -d, --dir
-
プレフィックス に直接インストールするのではなく、 プレフィックス/定義 にRubyをインストールするようにします。
- -v, --verbose
-
冗長モードです。 ビルド時の出力を標準入力と標準エラーに転送します
- -p, --patch
-
ビルド前に標準入力からパッチを適用します
- -k, --keep
-
インストール後にソースツリーを削除しません
- -4, --ipv4
-
IPv4アドレスのみに名前解決します
- -6, --ipv6
-
IPv6アドレスのみに名前解決します
例
Rubyのバージョンをインストールします。 ただし構成オプションを調整します。
$ ruby-build 3.2.2 /path/to/destination -- --disable-install-doc --with-openssl-dir=/opt/openssl
Rubyのバージョンを ~/.rubies/ruby-3.2.2
にインストールします。
$ ruby-build --dir ruby-3.2.2 ~/.rubies
Rubyのバージョンを ~/.rbenv/versions/3.3.5
にインストールします。
$ ruby-build --dir 3.3.5 ~/.rbenv/versions
rbenvプラグインとしての使い方は次の通りです。 前の例と同じことが達成されます。
$ rbenv install 3.3.5
環境変数
- TMPDIR
-
ディスク上の一時ファイルに書き込む場所
- RUBY_BUILD_BUILD_PATH(既定では TMPDIR の時間記録付きの副ディレクトリです)
-
ソースファイルをダウンロードしてコンパイルする、ビルド場所です
- RUBY_BUILD_CACHE_PATH(rbenvプラグインとして呼ばれたとき、既定では「~/.rbenv/cache」です)
-
ダウンロードしたパッケージファイルをキャッシュする場所です
- RUBY_BUILD_HTTP_CLIENT(既定ではPATHから見つかった最初のツールです)
-
ダウンロードに使うもので、「aria2c」「curl」「wget」のいずれかです
- RUBY_BUILD_ARIA2_OPTS
-
ダウンロード時にaria2cに渡す追加のオプションです
- RUBY_BUILD_CURL_OPTS
-
ダウンロード時にcurlに渡す追加のオプションです
- RUBY_BUILD_WGET_OPTS
-
ダウンロードでwgetに渡す追加のオプションです
- RUBY_BUILD_MIRROR_URL(既定では、スポンサーのAmazon CloudFrontのミラーです)
-
パッケージをダウンロードする、独自のミラーURLのルートです
- RUBY_BUILD_MIRROR_PACKAGE_URL
-
独自の完全なミラーURLです
- RUBY_BUILD_SKIP_MIRROR
-
ダウンロードミラーを迂回し、元々のURLから全てのパッケージファイルを取得します
- RUBY_BUILD_ROOT(既定では、ruby-buildのインストール場所内の「share/ruby-build」です)
-
独自のビルド定義ディレクトリです
- RUBY_BUILD_TARBALL_OVERRIDE
-
Rubyのtarballを取得するURLを上塗りします。 「#<checksum>」を後ろに付けることもできます
- RUBY_BUILD_DEFINITIONS
-
RUBY_BUILD_ROOT に加えて、ビルド定義を探索するパスです
- CC
-
Cコンパイラへのパスです
- RUBY_CFLAGS
-
Rubyのコンパイルに使う追加の
CFLAGS
オプションです - CONFIGURE_OPTS
-
「./configure」の追加引数です
- MAKE(既定では「make」です)
-
独自のmakeコマンドです(例えば「gmake」)
- MAKE_OPTS, MAKEOPTS
-
「make」への追加の引数です
- MAKE_INSTALL_OPTS
-
「make install」への追加の引数です
- RUBY_CONFIGURE_OPTS
-
「./configure」への追加の引数で、Rubyのソースにのみ適用されます
- RUBY_MAKE_OPTS
-
makeへの追加の引数で、Rubyのソースにのみ適用されます
- RUBY_MAKE_INSTALL_OPTS
-
「make install」への追加の引数で、Rubyのソースにのみ適用されます
- NO_COLOR(既定では、端末に接続しているときに彩色できるようにします)
-
出力でANSIの彩色を無効にします
- CLICOLOR_FORCE
-
出力でANSIの彩色を使います。 端末に接続していない場合も該当します
補足
日本語訳について
この日本語訳の原文は ruby-build(1) Manual Page です。
先行訳として Ruby STUDIO/ruby-build がありますが、本訳の作成にあたって参照していません。